高知工科大学大学院 起業家コース 起業ネットワーク

高知工科大学大学院 起業家コースのOB、在学生を中心とした組織です。

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起業家精神の芽に花咲かせたい

   

鈴木 寛子

今から約20年前、私は高知工科大学社会システム工学科に二期生として入学しました。幼い頃より親から「夢や志・ロマンを持った人間になりなさい。意欲・情熱・行動力を持って動きなさい」と言われてきました。中高一貫教育の女子高で育った私は、何のためらいもなく「自分にしかできない事をやりたい」そう思うようになり高知工科大学に入学を決めたのです。
「何か起こしたい、どうすればその何かが見つかるか?」とにかく自分の足で動きました。馬場先生に相談した所「鈴木さんの考えていることはアントレプレナー(起業家)かもしれないね。クラブをつくったら僕が顧問になってあげるよ」ありがたいお言葉を頂戴し、すぐ起業家精神育成(アントレプレナーインキュベーター)クラブを立ち上げました。
高知県の有名な企業の社長さんを訪問しお話しを聞いたり、起業家育成セミナーに参加したり。その時に「needsはseeds」という言葉が印象に残り「これだ!」とひらめいたのが20歳のとき。開学当初、大学周辺には飲食店や物を買う場所などほとんどなく、学生や先生方も不便も感じていました。そこで大学周辺の利便性の向上、食生活の改善の為、ストア・カフェO-bag(オーバック)を21歳で起業することになったのです。


当時は我武者羅に、いい事も悪い事も全て吸収し「自分のお店にどう活かせるか?」を模索していました。
その為、高知工科大学大学院起業家コースは私にぴったりでした。授業の内容を次から次へと自分のお店で実践し活かす事ができる。人生で一番人脈が増えたのもこの時期です。社会人コースだったので起業家や事業家、会社員の方が多い中、一人だけポツンと小娘が。起業家コースの方のお昼のお弁当の注文を受け、自ら配達する事もしばしば。今思えば社会にも出てない、何の経験もない若者が、良くも悪くも起業できたなと。それは一重に周りの大人が支援してくれたお陰だという事に気づいたのは大分たってからの事でした。
しかし、このまま行くと一生コンビニの経営者。一度、人の釜の飯を食べてみたい。視野を広げたい。将来に思い悩んでいた時に受けた「EXIT戦略」という授業で目の前がひらけました。
「事業を始める際、はじめから終わり方(EXIT)を見据えてやる事も大事」という言葉が印象に残り、それが私の次へのステップとなりました。
即座に転売先を探し、運よく次の経営者に譲渡する事ができたのです。「起業家精神」とは自ら事業をおこそうとする者が持っているべき精神。英語で「entrepreneurship」(アントレプレナーシップ)と訳せます。具体的には新たな事業分野を開拓していくために必要な、発想力や想像力、リスクを恐れない勇敢さ、チャレンジしていく姿勢の事をいいます。また、物事に向かっていく精神力、忍耐力、責任感、幅広い視野や見識も起業家精神の重要な要素です。思い立ったら即行動だけでは早々に潰れてしまいます。
企画・マーケティングのプロのN大先輩も「ベンチャーブルー」起業家が直面する死の谷の存在とその原因の解明と克服方法を導き出す研究をされていました。まさにそれに陥っていた私は、諸先輩方の助言と起業家コースの授業に救われました。
現在は高知県香南市の歯科材料メーカーで営業をしていますが、高知工科大学や高知大学から依頼があれば、講演もしています。
社長からサラリーマン、そして自叙伝の全国出版。起業も含め転職回数8回(七転び八起き)という異色の経歴が今でも自分の武器となっています。将来を見据えた考え方、先見性、言動、ものづくりができる人こそが真の意味で起業家精神を持った人と言えると思います。微力ではありますが、自分の経験を一人でも多くの若者に語り、起業家精神の芽に花が咲かせることができればと思っています。

昨年は社内でよさこい祭り出場の計画を立てプレゼンテーションを行い大きな予算を頂きました。「EVA連(えばれん)」という笑顔の歯(笑歯「えば」)を大事にしたいという思いで作ったチーム名も採用され、人も集まり、二年目で審査員特別賞も頂きました。

一つの物事を発案し、ないものをつくりあげる。その為には多くの人を動かし、持続するための努力が必要。起業家コースで磨きをかけた起業家精神は私の中に根付き、今でも新しい事にチャレンジする勇気をくれています。
それは、子育てもしかり。自分が母親になって感じる事は、子育ても仕事も本気でやるしかないという事です。子育ても立派な事業です。子供との時間もとても大事ですが、それ以上に大事なのは、子供にその背中を見せる事だと私は思っています。未熟な私に、周りの大人がしてくれたように色々な事を経験させ、見守り、夢やロマンを与えていきたいと思います。夢はパイロットだそうです。起業家でなくてもいい。新しい時代の航空業界を担っていける人材になれるよう、これからも彼の中の起業家精神の芽を大事に育てていこうと思います。

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